わずか6坪弱の鮨店の計画。計画地は元々クリーニング店が入居していた小さな木造平屋の建物で、その敷地形状から不整形な外壁ラインと屋根形状をもった建物であった。施主からの希望は、職人が中央に位置するカウンター方式にすること。そこでカウンター形状を外壁ラインに沿わせながら丸みを持たせ、狭小ながらも席数と客席スペースの最大化を試みた。また職人の背景は機能を持たない真っさらな壁を設け、仕込み作業以外の主な厨房機能は全てカウンター下に集約。至近距離で客席から厨房の裏機能が見えることを避けている。さらに天井は厨房側から客席に向かって放射状に勾配。天井内のスペースを利用して空調などの設備機器の存在感を最低限に留めつつ、勾配によって中心性を持たせた。素材はカウンターのイチョウをメインに、土壁やヒノキなど落ち着きある同系色で構成。老朽化した屋根はガルバリウム鋼板で葺き替え、外壁はグレーのスタッコで仕上げた。外観は夜景の中に静かに溶け込ませながら、内部は単一の世界観を明快に感じられるような空間を目指した。
クライアント:多㐂川
計画種別:内装設計
用途:鮨店
計画期間:2019年2月~2019年7月
計画面積:19.27平米
計画地:福岡県福岡市中央区薬院
設計:ケース・リアル 二俣公一 原田理生
施工:オブ
照明計画:モデュレックス
家具製作:E&Y
サイン:西本宗璽
写真:水崎浩志