青山の高台にある広大な敷地の中に、3500㎡の大規模な緑地空間と、賃貸住宅や高齢者向け住居、ショップやレストラン、保育所などが複合的に整備された「ののあおやま」。今回、その「ののあおやま」エリアに設けられた地域交流のための空間を計画することとなった。建物1階にある約30坪の区画に求められたのは、市民ギャラリーや講演イベント、エリアマネジメント活動など、多目的に利用できるスペースである。L型の特徴的な平面をした区画は、その上部に2階へのアプローチとなる大階段が掛かっており、その影響で内部は一部傾斜天井となっていた。そこで計画では、まず内部を緩やかなアール天井で構成することにした。これにより天井高さを確保しながら傾斜の問題をクリアできると共に、「自然の尊さに包まれ、そのありがたさを改めて感じさせる地になること」をひとつのコンセプトとする、「ののあおやま」の空気に合うような大らかで柔らかい空間が可能になった。そして壁にも大きな曲線を取り入れることで、室内に出来る2つのスペースを分断することなく奥へと誘い込むようなプランとした。マテリアルには、シンプルながらも上品な印象となるよう、ツヤ感のあるチーク材と淡いグレーベージュの塗装を使用。子供から大人まで様々な人が交流する場だからこそ、落ち着いた雰囲気とオープンな風通しの良さを意識した。この空間でこれからも、地域の多様な交流が活発に行われることを期待している。
クライアント:一般社団法人まちづくりののあおやま
計画種別:内装設計
用途:多目的スペース
計画期間:2020年1月~2020年10月
計画面積:106平米
計画地:東京都港区北青山
設計:ケース・リアル 二俣公一 古村浩一
施工:TANK
照明計画:モデュレックス
写真:志摩大輔