アイウェアブランド「BLANC」の初となる路面店の内装計画。細長い三角形のような形が特徴的な空間に、ブランドのショップとオフィスを兼ね備えた場所を作ることになった。計画する上で最も課題であったのが、ショップが入ることになったビルの厳しい規定である。もともと事務所利用を前提として作られた区画だったこともあり、既存の床や壁に手を加えることが難しく、さらにはビルの避難動線などの規定により、新しく壁を立てることも避けなければならなかった。一方、天井についてはアンカー打ちが可能であったことから、私たちはこれを起点にデザインを考えることにした。具体的には、オフィスとショップ、検眼スペースなど、空間を分ける方法としてカーテンを使用。三角形の平面に、小さな円を描いて検眼スペースを、そして手前から店舗奥に広がるように円弧を描いてオフィススペースのカーテンを設けた。ウィンドウから空間の奥行きを感じられると共に、カーテンがショップの顔の一つになることを意識した。検眼スペースには、閉鎖感が出ないように適度な透け感のある生地を使用し、一方のオフィススペースには出入り口が2箇所必要だったことから三色のカーテンを用いて円弧にグラデーションをつけている。カーテンレールと照明ダクトはどちらもオリジナルで製作し、天井面をダイナミックなラインが横断する構成とした。また、壁への造作が難しかったことから、ディスプレイ什器は置き式で構成。バッカー材と呼ばれる一般的に家具の裏地材として使用される素材に、アイウェアが映えるライトグレーのリノリウムを組み合わせた。多くの制限により、シンプルでありながらも、彩りあるBLANCのアイウェアの受け皿となる空間を目指した。
クライアント:BLANC
計画種別:内装設計
用途:ショップ
計画期間:2021年12月~2022年4月
計画面積:122.96平米
計画地:東京都渋谷区千駄ヶ谷
空間設計:ケース・リアル 二俣公一 大仁田雄輝 須藤綾香
施工:ディプラス
照明計画:BRANCH LIGHTING DESIGN 中村達基
ロゴデザイン / アートディレクション:ORYEL 井上広一
写真:志摩大輔