計画地のある神戸は、明治維新以降の開港や居留地の完成に伴って貿易が盛んになり、海外のさまざまな文化を取り入れながら発展してきた。 そして、現在の神戸の街でもその歴史を感じられる要素があちこちに点在しており、18世紀末から19世紀前半に建てられた西洋風の建築もその一つである。 中には日本独自の文化と融合されて、和洋折衷の独特の雰囲気を持つものもあり、 私たちは今回のストアにおいて、この神戸の歴史とリンクするバランス感覚そのものを、空間の要素として取り込みたいと考えた。
メインの素材に用いるのは、計画地の北西に位置する淡路島の土を原料とした淡路瓦である。 淡路島特有の良質な粘土質によって作られる淡路瓦には約 400 年以上の歴史があり、型を用いて様々な形状に成形できるほか、 その火入れの温度によって「いぶし銀」と呼ばれる黒とシルバーがミックスしたような独特の表情が表れる。
私たちは、これを壁面の巾木やエンドパーツとして、またイソップのプロダクトを縁取る門型のフレーミングなどに使用。マテリアルとしては淡路瓦という日本古来の素材を用いながらも、様式としては西洋的な構成を取り入れ、神戸独自の素材や造形のバランスとイソップの空間との融合を試みた。
クライアント:イソップ
計画種別:内装設計
用途:物販
計画期間:2022年8月~2023年3月
計画面積:124.75平米
計画地:兵庫県神戸市中央区三宮町
設計:ケース・リアル 二俣公一 有川靖
施工:ディー・ブレーン
照明計画:BRANCH LIGHTING DESIGN 中村達基
瓦製作:Oiya
写真:イソップ