大分県日田市を流れる、三隈川を目の前に臨む「すてーき茶寮 和くら」の改修計画。
店舗があるのは、登録有形文化財にも指定されている築約90年の土蔵で、内部は茶寮のある東土蔵と、鉄板焼スペースがある川側の西土蔵の2棟で構成されている。今回の計画では、経年により老朽化した箇所の更新を前提に、エントランス周りと西土蔵を中心に改修。施主との打ち合わせを重ね、レイアウトなど基本的な構成は大きく変えずに、仕上げや開口周りの仕様など細かな変更を積み上げていくことで、蔵の良さを生かしながら全体を更新する方針とした。
具体的には、木製建具で構成されていたエントランスは、入口の印象がすっきり感じられるようガラス戸に変更している。同時に、格子状で意匠性の強かった軒天はシンプルな木貼りに変更し、アプローチの要素を少なくすることで内部への期待感を高めた。また、改修前はサッシフレームが川への視界を遮っていた開口部は、内側の柱ピッチを意識しながら両サイド片開き戸のサッシに変更。和くらの特徴とも言える、メインカウンターから眺める川岸の風景をクリアにした。さらに各カウンターの上部にあるフードは、既存の土台を利用しながら色や仕上げのみを更新し、壁と同じ左官材で仕上げることで空間に馴染ませている。波打ち形状が特徴的な壁面は、その形や既存の石巾木を活かしつつ左官材で再度仕上げ直し、床は瓦タイル敷で貼り替えて建物の雰囲気に合う質感とした。
クライアント:すてーき茶寮 和くら
計画種別:内装設計
用途:飲食店
計画期間:2023年7月~2024年3月
計画面積:79.87平米
計画地:大分県日田市隈
設計:ケース・リアル 二俣公一 久保山実暉
施工:園田建設
照明計画:コイズミ照明
家具リペア・コーディネート:アハト 田中敏憲
暖簾・ロゴデザイン:望月通陽
写真:水崎浩志