福岡県太宰府市にある太宰府天満宮。御本殿への入り口である楼門の両側には、境内の北東に位置する天開稲荷社と、天満宮からさらに北東の山手側に位置する宝満宮竈門神社の出張授与所が設けられている。それぞれの神社には縁の深い色があり、天開稲荷社は「五穀豊穣や商業繁栄の神様」とされることから稲穂の黄金色のイメージを、一方古くから「縁結びの神様」として広く信仰されてきた竈門神社は、その御神紋である桜が毎年境内に咲き誇ることから桜色のイメージを大切にしている。これを受け私たちは、授与所の改修を計画するうえで既存の木造建屋に馴染むことを意識しながらも、それぞれの神社に縁のある色を表現出来る空間を考えることにした。素材として用いたのは、各色に適した石を混ぜ込み製作した大判のテラゾータイル。これを授与品を置くためのカウンターや背面の壁全面に用い、黄金色と桜色それぞれのタイルで組み上げることで、手法や構成は同一ながらも個々の気配を表した。さらに背面には授与品を展示するための真鍮の可動システムを製作。檜で出来た授与品箱と合わせて、祭事毎に展示に変化をつけられるようにした。
計画種別:改修
用途:授与所
計画期間:2018年5月~2018年12月
計画面積:18.46平米
計画地:福岡県太宰府市
設計:ケース・リアル 二俣公一 下平康一 古里さなえ
施工:オブ
照明計画:BRANCH LIGHTING DESIGN 中村達基
撮影:水崎浩志