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「ADAPTATION – KYNE」のための会場デザイン

福岡を拠点に活動するアーティストKYNE氏の、国内初の大規模個展「ADAPTATION – KYNE」の会場デザイン。およそ1200平米の大空間に、長さ12mの壁画を含む平面作品や立体作品、ドローイングなど、約200作品のための展示計画を行った。

KYNE氏は、グラフィティアートなどストリート文化にルーツを持ちながら、その作品には氏が学んできた日本画の要素も感じられるなど、ハイブリッドな感覚を持ったアーティストである。そのため、受け皿になる展示空間も美術館というベーシックな空間を活かしつつ、ストリートアートに通じる”ライブ感”やその場所に生まれる”偶然性”のようなものを意識して計画したいと考えた。

全体は大きく分けて、これまで製作された過去の作品群、製作活動にまつわる資料などのアーカイブ、そして今回の展示のために製作された新作群で構成されている。最初のゾーンとなる過去の作品群の展示では、美術館がもつ既存のショーケースやガラスウィンドウをそのまま利用。ミュージアムとしての鑑賞体験を重視している。平面作品をあえて立体物のように四方見える状態でガラスケースに収め、普段は目にすることのない、キャンバス裏面の筆跡や手触り感のようなものも可視化した。

一方、展示の一部は、普段美術館のストックとして使われている場所を仮設的な展示空間に転用した。ある場所では、本来壁の下地として隠れてしまう不完全な壁面を活かし、ストリートにも通じる無作為な設えを作品の背景としている。全て新しい何かを設えるのではなく、そこにある状況にアートを挿していく。美術館というオフィシャルな空間の中に、氏のルーツにも通じるような場所を設定して順路に転調を加えた。また全体は、鑑賞者の視線や動線をコントロールしつつ、壁造作とベンチを一体的に作ったり、そのものがアート作品となっているベンチ(KYNE氏とのコラボレーション作品)を配置することで、壁画や作品群にインスタレーション的に対峙できる場所を作った。

そして最終の展示ゾーンでは、従来展示空間の外に配置されることが多い販売スペースを、独立したストア建築として展示空間の中に入れ子状に配置。これまで、ファッションなど様々なブランドとのコラボレーションを行なってきたKYNE氏の特色を踏まえ、氏の系譜をたどる文脈の一部として計画した。

主催:KYNE展実行委員会
(福岡市美術館、有限会社インディチェ、株式会社LOCUS、公益財団法人福岡市文化芸術振興財団)
企画協力:GALLERY TARGET
会期:2024年4月20日~6月30日
会場:福岡市美術館 特別展示室
計画種別:会場構成
用途:展示空間
計画期間:2023年5月~2024年4月
計画面積: 1173平米
会場デザイン:ケース・リアル 二俣公一 下平康一 久保山実暉
ロゴデザイン:Chi-Long Trieu, Chi-Binh Trieu (Office for Typography)
施工:ケイ・ネットワーク
ベンチ製作協力:天童木工
写真:水崎浩志

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