山梨県・山中湖の別荘エリアに建つ、別荘兼保養所の計画。施主は様々なブランドのファッションショーやイベントなどを手がけるプロデューサーで、それら非日常の世界を離れ、ゲストやスタッフと集まって自然の中でリフレッシュできる場所をつくりたいと考えた。敷地は富士山の麓、一面森が広がる斜面地にある。東から西に向かって緩やかな高低差がついており、これをどのように扱うかが大きな課題となった。
様々なボリューム検討を重ねた末に導き出したのは、無理に高さを慣らすのではなく、傾斜を活かして機能をレイアウトすること。全体はL字型の大きな平屋としながらも、最も地盤の低い西側は半地下のある二層のボリュームを組み合わせ、一方、地盤の高い東側は一部床レベルを上げて土地形状に馴染ませている。そして、エントランスや駐車場からアクセスの良い東側にゲストルームを、もう一方の西側には主寝室やサウナなどプライベート性が求められる部屋を計画。これらが建物中央にあるリビングダイニングを介してつながることで、各々が適度な距離を取りながら中央で交流できる配置計画とした。外部においては中庭に対して軒を深く取り、リビングダイニングと外との連続性を意識している。軒下の中間領域があることで、屋外での様々なアクティビティの受け皿にもなりうる環境を整えた。
外観の仕上げは施主のリクエストでもあり、深い森の雰囲気にも馴染む黒をベースとしている。壁面や軒天はすべて浮造り加工を施した焼杉で仕上げ、黒の中にも奥行きのある表情を持たせた。また、妻面や鼻隠しなど、通常の切妻とは異なる形状とした屋根は、特殊な曲げ加工で鋼板を貼り込み、要素を削ぎ落として全体を一体的に見せている。各所の機能的な部分だけではなく、照明の在り方や建築のプロポーションなど、普段から空間のプロデュースに関わる施主と細かくやり取りを重ね、ミニマルながらもリラックス出来る空間を目指した。
計画種別:新築
用途:住宅
計画期間:2022年11月~2025年7月
構造:木造
規模:地上2階
建築面積:285平米
延床面積:265平米
敷地面積:3305平米
計画地:山梨県
建築設計:ケース・リアル 二俣公一 山本佳奈 橋詰亜季 有川靖
設計協力:渡辺淳一建築設計事務所 渡辺淳一
構造設計:メイホウ・オンスタジオ・アソシエイツ構造設計事務所 下久保亘
照明計画:BRANCH LIGHTING DESIGN 中村達基
植栽計画:GREENETTA 高浦 裕子
施工:コバヤシ工業
什器・建具製作:ウッドワークス
写真:志摩大輔